【来島海峡西口】衝突転覆事故の原因は?推測される事故の状況や情報・これからの展開を考えてみた

海・船

船乗り歴25年のはっしーです。

海難事故のニュースを聞くと他人事には思えません。

5月28日深夜、来島海峡西口で、プリンス海運所属のRORO船の【白虎】とケミカルタンカー【ウルサン・パイオニア】が衝突。

【白虎】が転覆し乗組員3名が行方不明になっています。

船乗りの立場からこの事故の推定できる原因をまとめてみました。

事故の状況を確認

事故が起きたのは28日0時頃との事。
海上保安庁が発行する海の航行情報を受信するナブテックスでは0時15分に【白虎】は転覆したとあります。

情報によれば、27日の23時55分頃衝突という情報もあるので、20分程で横倒しになった可能性があります。

恐らく横倒しになっている時には、荷崩れが生じ傾きが段々急になってきていると想定されます。

また、沈没するまでに至っている事から、船体に穴が開いている可能性が高く、相当量の海水が流入している事でしょう。

荷崩れからの傾斜と海水の流入で傾斜する速度が速かったと想像できます。

傾斜が速くなり、海水の流入が多かったと考えれば、主機関と発電機のエンジンが停止し操縦性が失われ、ブラックアウト(電源喪失)により機器類だけではなく照明まで早い段階で使えなくなっていた可能性があります。

船にはのバッテリーによる非常用の電源(照明)があるのですが、それがどの程度役に立ったかはわかりません。

RORO船の白虎は、神戸から北九州の苅田港へ向かっている北(西)航船。

一方のケミカルタンカーの【ウルサン・パイオニア】は中国から大阪向けの南(東)航船。

28日0時30分頃に来島海峡は南流から北流に変わる潮変わり前の時間帯に事故が発生しています。

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事故の推定原因は?

事故の原因を私なりに考えてみました。

来島海峡の航法

来島海峡の航法は、「順中逆西」と呼ばれる特殊な航法が採用されています。

来島海峡には島が点在しており、島を分岐点にして

  • 東水道
  • 中水道
  • 西水道

の3つのコースがあります。

東水道は若干大回りのコースの為あまり使われず、通常は中水道と西水道が使われます。

来島海峡は、潮が速い事で有名で、特に中水道は西水道より潮の流れが速く逆潮での航行が困難であるとの見解から、

  • 順潮の時は中水道を航行
  • 逆潮の時は西水道を航行

する事になっています。

船は通常右側通行ですので、来島海峡が北流の時はそのまま航行すれば良いのですが、南流の時は来島海峡のみ左側航行になるので、来島海峡の手前で行きかう船が交差する状況が発生します。

濃霧が出ていた?

来島海峡の当時の海象は不明なのですが、瀬戸内海(来島海峡)はよく濃霧が発生します。

これだけの大きな船が衝突しているので、視界が悪かったのか?という事が想像できます。

海上保安庁が管制体制は?

来島海峡を通狭する船は、来島海峡海上交通センター(通称来島マーチス)と呼ばれる海上保安庁の管制室から、国際VHFと呼ばれる船舶に備え付けの無線機で指示が受けます。

今回の様に潮変わり時期は航路が交差するために、来島マーチスからどっちの航路を航行するか指示があったはずです。

ただ、飛行機の管制と同じ様に管制室から注意喚起したとしても、実際に船を操縦できる訳ではないので、無線を飛ばしても船が行動に移さなければ事故は起きてしまいます。

航行する船舶が多かった?

来島海峡の5月27日の潮汐を見ると、21時頃に南流の10ノットとあります。

潮流が10ノットになる事は稀で、さすがにこの時間帯に航行する船舶は少なかったのでは?と予想できます。

この様に潮流が速いと船はスピードをコントロールして強潮流の時間帯を避けるようにします。

また、強潮流はその時間帯だけでなく、前後30~1時間ぐらいは勢いが止まらないのでその時間帯に通過したかった船が転流前の時間に集まってしまったという事も考えられるかもしれません。

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衝突した船の詳細

衝突した船の詳細を紹介します。

白虎

船名:白虎
総トン数:11454t
全長:169.98m
幅:26.00m
速力:21.6㏏
竣工:2020年6月30日
造船所:(株)新来島どっく
所属:プリンス海運

積み荷は、自動車&シャーシを運んでおり、主要航路は追浜~神戸~苅田となっています。

ウルサン・パイオニア

船名:ウルサン・パイオニア
総トン数:2696t
全長:89.99m
幅:14m
速力:12.7㏏
建造年:2016
所属:興亜海運

1995年 8月14日 岡山県水島港港内航路でケミカルタンカー【ウルサン・パイオニア】が油送船「鶴藤丸」に衝突事故を起こしていますが、今回の【ウルサン・パイオニア】は2016年に代替わりしていますので、先代の【ウルサン・パイオニア】になります。

 

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両船の見合い関係は?

今回の事故は南流時の来島海峡西口での事故なので、来島航路を出た【白虎】が左側通行から右側通行に変わろうとしていたのでしょう。

また【ウルサン・パイオニア】も同じく右側航行から左側航行に切り替えていて、お互いクロスするコースだったのではと推定できます

【ウルサン・パイオニア】の船首が損傷しているので、【白虎】の左舷側に衝突した可能性が高く、転覆・沈没していることから衝突により船体に穴が開き同時に荷崩れを起こして転覆・沈没に至ったのではではないか?と推測されます。

 

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事故後の展開は?

来島海峡航路出口でもあるので、早急に引き上げ作業があるのでは?と予測されます。

付近の海域は、水深が80m程と以外に深く、ROVと呼ばれる水中ロボットでのワイヤー玉掛作業が行われて、海上クレーンで引き上げられるのでは?と思われます。

また、【白虎】が沈没していることから、周辺の燃料油などの油流出による二次被害も気になります。

また、来島海峡航路での事故ですので、【白虎】の船長は行方不明ですが、当直航海士と操舵手がブリッジに居たのでは?と思われるので色々と事情を聴くことができるのでは?と思われます。

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まとめ

今回の海難事故はまだ不透明な事が多く、私の予想で記事を書かせてもらいました。

色々な事がわかってきたら追記したいと思います。

 

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