昨年9月の台風21号で甚大な被害を受けた関西国際空港。その中でも、タンカー船が衝突した連絡橋が、復旧に向けて大きな第一歩を踏み出しました。2月14日に新しい橋桁を大型起重機船「武蔵」によって架設作業が終了というニュースが流れ、この大型起重機船に興味を持たれた方もいらっしゃると思います。今日は、この大型起重機船にスポットを当ててみたいと思います。
起重機船とは?
クレーンが付いた船で、日本にいる主な起重機船は、台船と呼ばれる箱型の船にクレーン設備を乗せたような形が主流です。日本では自走できる大型クレーン船は見かけないのですが、位置の微調整程度に使えるスラスターを積んだ船はごく稀にいます。中型ぐらいのクレーン船になると、自走ではありませんが、プッシャーバージ方式のクレーン船も存在します。プッシャーバージ方式とは、クレーン台船に専用にドッキングできるボートがいて、一体となって動くシステムでしす。あと、クレーン船は大きく分けて2種類あり、ジブ固定・起伏式と旋回式とあります。
- ジブ固定・起伏式
固定(半固定)のジブを介して荷物を吊る方式です。ジブの角度を変えられる物が多く、ジブを長くすることにより、角度を立てると、より高いところでの作業が可能になります。また、角度を倒すと、より奥にまで手が届きますが、吊り重量は減ってしまいます。今回の「武蔵」はこれに当たります。写真の長崎港に常駐しているクレーン船155号はジブ起伏式になります。
- 旋回式
ジブが旋回するクレーンで、作業効率が高いのが特徴です。ジブ式は吊荷を動かすのに船体ごと動かさないといけない事がほとんどですが、旋回式はその場にて作業できる事が多いので、作業時間の短縮につながります。
どのような仕事をするの?
今回は、関空連絡橋の橋桁を吊ってましたが、港で船に積み込む重量物や、海難事故で沈んだ船の吊り上げなど、様々な場所で活躍しています。
どれ位の物を吊り上げられるの?
今回の「武蔵」は3700t吊です。「武蔵」は深田サルベージ建設株式会社の所有ですが、同社の中では一番大きなFCになります。日本では、寄神建設の「海翔」が4100t「洋翔」が4000t吉田組の題50吉田号の3700tが国内最大級ではないでしょうか?外国に目を向けると、1万4000t吊の超巨大なクレーンがいるようですが、近々2万t吊が誕生するそうです。もう想像ができない世界ですね。
どやって動くの?
自走のできないクレーン船はタグボートが曳航する事になります。「海翔」「洋翔」「武蔵」「第50吉田号」ぐらいの大きさになると、4000PS級タグボートを3~4隻使って移動になります。そして、現場での小さな移動はアンカーや陸上から取った策で移動します。」そして、現場での小さな移動はアンカーや陸上から取った策で移動します。クレーン船が大きくなると、揚錨船が付き船でいる事が多いです。揚錨船とは、ジブを備えたタグボートで、クレーン船等のアンカーを運んでクレーン船のアンカーを打ったり揚げたりして、クレーン船のサポートをします。また、自走に近いのですが、プッシャーバージ方式のクレーン船も存在します。
まとめ
今回は、関空連絡橋の復旧で脚光を浴びましたが、実は多分皆さんが日頃使っている、海沿いの道路や橋掛けなど多くの実績があり、日本の建設業界にはなくてはならない存在です。これを機に少しは興味が持てたでしょうか?ちなみに、関空連絡橋は2019年ゴールデンウイーク頃までに完全復旧の予定だそうです。
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